(雨)Punk Is Attitude, Not Style

Δじゃ。

肉体は衰えたが、ハートはいまでも反骨精神で満ちとるぞ。

少し前にロックの話をしたと思うが、今回はその中の
サブジャンル、パンクロック(Punk Rock)について
語っていこうかの。

パンクロック。1970年代の中頃じゃったかに、
イギリスはロンドン、アメリカはニューヨークで
同時に起きたロックの一大潮流じゃ。

大衆音楽というのがない今じゃあ理解しにくいかも
しれんが、パンクというのはもとは音楽じゃった。

シンプルな曲構成、荒々しい演奏、生々しいメッセージ、
奇抜なファッションがその特徴じゃ。元祖とされるのは
ロンドンではSex Pistolsじゃが、こやつらがまさに
その特徴すべてを兼ね備えとるな。

ニューヨークのバンドの多くはその定義に収まって
おらんので、注意が必要じゃ。

生々しいメッセージっちゅうのは、彼らの生活面
(都市に暮らすワーキングクラスの若者)の実感を
率直に吐き出したものが中心じゃ。時にそれは、
政治的な側面をもつこともある。

ロンドンパンクの中じゃ、The Clashなんかが
その代表格じゃな。

いまおもえば、ロックンロールバンドとして活動し、
反骨精神をもって、反体制の立場を叫びさえすれば
どんなバンドもパンクロックといわれていたわけじゃな。

この政治性というのは重要じゃ。

かいつまんでいえば、音楽は死んだが政治性は
残ったのじゃ。

誕生してから2010年頃まで、パンクは音楽じゃった。

ところが今や、パンクといえばゲームじゃ。

その昔、パンクの聖地はロンドンやニューヨークじゃった。
ところが今やパンクの聖地は日本の秋葉原なのじゃ。

音楽からゲームへ。

この流れを作ったのは一本のアダルトゲームじゃった。
そのタイトルは、

『幼なじみは大統領』

という。

たとえば宗教団体なり国家なりといった、茶化したらまずい
タイプのものをあえて茶化してみせる。これがいわゆる
日本発祥のパンク、通商アキバパンクの特徴じゃ。

このゲームでは、ロシアというもっとも冗談が通用しなそうな
国家をネタにしておる。プーチンという当時の最高権力者
(大統領であったりなかったりしたが)をヒロインに据えておる。

正直、いつKGBが襲撃してきてもおかしくないほどじゃ。

このような政治的に過激な作品を世に送り出したことが、
東京でくすぶっておったパンクロッカーたちに火をつけた。

いたるところで似たような内容のゲームが発表され、
全世界でアキバパンクのムーブメントを巻き起こした。

じゃからこの作品は、今ではSex Pistols / Never Mind the Bollocks
と並ぶパンクロックの聖典とされておる。

ちなみにこの作品をつくったALcotというゲームメーカーは
千葉にあったらしいのう。そのこともあってか、チバシティは
いまでもアキバと並ぶパンクの拠点の一つじゃな。

ギブソンの『ニューロマンサー』に千葉が出てくるのも
関係しとるのかもしれん。

この作品ののちに、パンクロックの伝統ともいえる皇室
(天皇家じゃな)をテーマに扱ったゲームが登場したことで、
アキバパンクの流れは一気に加速する。

それはたしか、2010年の夏ごろじゃったかのう。

そこから先の出来事は、またの機会に記そうかの。

さらばじゃ。